高校野球コラム・第10回

2010年2月5日 update!

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高校野球マニアによるカルチェ・コラム(略してカルコラ)第2弾。
その10回目は、21世紀枠についての後編。前回の続きです。


「10年目の21世紀枠。後編」

 さて、今年の21世紀枠に出場する3校の大きな選考理由は…。
・山形中央(山形)
 野球部は「感謝心」を掲げて登校時や練習前後に率先して学校周辺の清掃活動に取り組んでいる。
・川島(徳島)
 過疎化が進み、年々人口が減少しつつある吉野川市にあり、2006年から併設型の中高一貫校になった。東西100m、南北90mのグランドはサッカー、ソフトボール、陸上各部や、中学校部活動とも共用で、すし詰め状態。そんな中、スイング力強化と事故防止のため、ソフトボールを使ったロングティーや外野ノック、バッティングセンターのようにネットと対面で行う打撃練習など、約2時間の限られた練習時間の中で工夫を凝らしている。少子化、部員数の減少に悩む学校の励みになるとして高い評価。
・向陽(和歌山)
 戦前、海草中学として春夏の甲子園で輝かしい戦績を残し、高校野球ファンには懐かしい名前。また、第2次世界大戦に出征して亡くなったOBの嶋清一氏(2008年野球殿堂入り)の伝記本を(野球部員たちなどが)読み、平和に野球のできるありがたみを痛感している点で(21世紀枠特別選考委員に)推された。同校は2006年には文部科学省から、スーパーサイエンス・ハイスクールの指定を受け、理数系に特化した環境科学科を中心に高いレベルの研究や実験に取り組み、高い知識と技能をはぐくむ。野球部員4人も同科に所属して文武両道を目指している。
(インターネットスポーツ総合メディア「スポーツナビ」より。)

 各校に、とても感動的、驚愕的なエピソードがありますね。素直に心を打たれます。
 今回の選考について、21世紀枠特別選考委員の方の多くが「(候補校を)落とすのはとても辛い作業」と語り、奥島孝康日本高校野球連盟会長は「できることならば(候補校の)9校すべてを選んであげたかった」と会見でコメントしたそうです。
 苦渋の決断だったと思います。選考委員の方には大変失礼ですが、「自分が選考する当事者であれば」などとは、冗談でも考えたくありません。傍目でも悲痛感が漂います。
 それはやはり、(前編で書いた選考基準の1の項目を中心とする)現状では優劣を付けられないからではないでしょうか。落選した6校と、選ばれた3校にどんな差があったのでしょう?

 基準が定まっていない秤ほど無意味なものはありませんし、そもそも、計るべきものなのかどうか疑問です。
 21世紀枠の設定から今年で10年。今大会終了後に、設定の見直しが予定さているそうです。
 ちなみに、過去21世紀枠に私立高校が選ばれたケースはありません。

筆者プロフィール
和田雅幸
・編集者・ライター
・高松市在住
香川のタウン情報誌編集を経て独立。趣味は高校野球観戦のほか、映画・洋楽・美術鑑賞に読書で、そのどれもがマニアック。高校野球観戦歴は約20年。県内での公式戦はもちろん、毎年甲子園にも足を運ぶ。元プロ野球選手をはじめ、スポーツアスリートへのインタビューなどもこなす。タイトルバックの写真は、筆者による2009夏の香川県大会のひとコマ(サーパススタジアム)。


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